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所長マイクのブログ,2019年ブログ2019/08/15

幸福の種類で変わるゲノム

 

2013729日付けで『米国科学アカデミー紀要』に掲載された論文では、驚くべきことに幸福の種類によっても免疫細胞のエピゲノムが変化すると発表されている。

 

 

研究者らは、35歳から64歳までの被験者80人を幸福の種類別に分けた。

 

 

1つめの幸福感は快楽主義的なもので、目先の欲求を満たすことで簡単に得られるものだ。

 

 

例えば「おいしいものを食べて幸せ」や、「欲しかったものが買えて幸せ」など、単純な自己満足がこれにあたる。

 

 

2つめの幸福感は「人生に方向性や意味がある」「よりよい人間に成長できるような挑戦、または経験をしたことがある」「社会に貢献できるものがある」など、何らかの理由が満足感や安寧を生じさせる幸福だ。

 

 

被験者らは快楽的や精神的な質問に答えてもらい、幸福の度合いを0(一度も感じたことがない)から5(毎日感じている)まで段階評価するよう指示された。

 

 

そして血液中の免疫細胞の遺伝子と相関性があるかどうかを調査した。

 

 

幸福の種類によって免疫細胞の遺伝子スイッチが変化するのはにわかに信じがたいが、コール博士らが研究で得た結果とはそういうものだ。

 

 

物欲を満たすことや、おいしいものを食べるという行為で得られる短期で浅い快楽的な幸福では、免疫細胞が活性化するどころか孤独感を感じているのと同じようなエピゲノムのパターンが見られた。

 

 

逆に社会に貢献することで人生に意味を見出すような、深い満足感を伴う精神的な幸福感では、炎症反応に関連する遺伝子が抑えられ、抗ウイルス反応に関連する遺伝子はより活性化されていた。

 

 

コール博士とともに研究に携わったバーバラ・フレドリック博士は、同じ幸福感でもまったく別の結果が出たことに対して最初は驚いたという。

 

 

快楽的な生活を送っている被験者でも「人間として満たされた生活を送っている」と述べており、免疫システムにネガティヴな影響があるとは思いもしなかったのだ。

 

 

しかし目の前の欲求が満たされることで得られる幸福感には、何らかの代償があるのだろう。

 

 

手っ取り早く得られる快楽的な幸福感とは、いわばストレスによる過食で得られる虚しい満足感のようなものだという可能性がある。

 

 

本人の自覚はなくとも、それは免疫細胞の遺伝子には発現していたのだ。

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